熱流体解析技術

食品(枝肉)保管庫内の気流

熱流体解析技術 INDEX

01概要

前川製作所では熱源である冷凍機以外にも、冷凍機を有効活用するためのトータルシステムとして、様々なプラント設備を提供・販売しています。その中でも食肉としてカットされ販売される前の枝肉の保管庫の需要は多く存在しています。

その保管庫の設計上、問題とされるのが保管庫内の冷却ムラです。最適な庫内構造設計ができている場合には冷却ファンから出た冷風は保管庫全体にきちんと行き渡り、レールから吊り下げられた枝肉は均一に冷却されます。今回は流体解析により、枝肉保管庫内の風の流れを可視化しました。

02計算について

2.1 計算のモデル化について

図1は枝肉保管庫を計算用に簡略化したモデル図です。保管庫の中の枝肉は製造ラインの稼動に合わせて、入口から出口へとレールに沿って常に運ばれています。そのため枝肉を一体一体モデル化せずに、通風抵抗を持った直方体とみなしてモデル化します。この直方体の内部を風が通過するときには、ある通風抵抗を持って流れるという条件を与えることで、枝肉の進行方向について平均化した風の流れを計算することができます。

図1 枝肉保管庫モデル

図1 枝肉保管庫モデル

2.2 枝肉の通風抵抗の計算

保管庫全体の計算を行う前に、枝肉を直方体にモデル化したときの通風抵抗を調べる必要があります。事前計算として枝肉の通風抵抗を求めるための計算を実施し、通風抵抗を求めました。

図2 通風抵抗 算出用モデル

図2 通風抵抗 算出用モデル

ダクトの中に枝肉を模したモデルを3つ並べた“数値風洞”と呼ばれる試験系をコンピュータ上に作成します(図2)。この中に決められた風速の空気を流し、前後の圧力差から直方体にモデル化する前の枝肉の抵抗係数を算出します。このように求めた抵抗係数をモデル化した直方体の枝肉の通風抵抗とすることで、現実に即した計算を行うことが可能となります。

2.3 解析結果

それでは実際に保管庫全体の計算を実施していきます。天井につけられた冷却用クーラーファンの流量を指定し、枝肉モデルには数値風洞で求めた抵抗係数を指定し計算をします。そのようにして得られた解析結果の動画を以下に示します。

動画では例として、手前から2つ目のクーラーファンから出てくる風の流れを矢印で図示しています。天井に設置されたファンから出た風は、一部がレールや枝肉の間を通過しつつ、庫内の壁、床面を沿って倉庫全体にうまく流れていることがわかります。
このように、設計段階で流体計算を実施することで、無駄のない最適な庫内構造の検討が可能となります。