冷やす仕組み | 10

冷凍サイクルをつくる

冷やす仕組み INDEX

第6章から第8章では冷媒が蒸発する際に周囲の熱を奪うことを説明しました。第9章では蒸発したガスを注射器で圧縮するとガスの圧力が上昇し、凝縮して液体に戻ることも説明しましたね。注射器に一方通行の弁を取り付ければ、次々にガスを圧縮でき、凝縮した液体を貯めることも出来ます。

これまでのまとめを絵にしてみました。それぞれをつないでみましょう。蒸発器→注射器→液体を貯めるタンク→流量を調整する弁→蒸発器と繋いでいます。1周ぐるっとつながりましたね。これが冷凍サイクルです。それぞれの部分を冷媒が通過して一周まわっているので「冷凍サイクル」といいます。冷媒を圧縮する注射器の部分をモータなどで自動化すれば、全体の冷媒が連続的にぐるぐる回ることになります。

図1 冷凍サイクル

図1 冷凍サイクル

皆さんのご家庭にある冷蔵庫や、スーパーマーケットにあるショーケースでは、この冷凍サイクルの蒸発器部分を使って食べ物や飲み物を冷やしています。また、皆さんのご家庭にあるエアコンにも冷凍サイクルが使われており、夏場には室内機を蒸発器として利用して部屋を冷やし、冬場ではサイクルを切り替えて、室内機を凝縮器として利用することで部屋を暖めています。

皆さんの身近なところで利用されている冷凍サイクルは、産業界でも広く活用されています。

こういった大規模な施設では、皆さんのご家庭にある冷蔵庫よりも何十倍、何百倍も巨大な装置が使われており、製氷業界、飲料業界では次のような冷凍機(チラーユニット)が使われています。

図2 冷凍機(チラーユニット)

図2 冷凍機(チラーユニット)

冷凍サイクルを構成する部品の多くは金属で作られていて、皆さんが普段見ている冷蔵庫とは大きく異なるように見えますが、基本となる「冷凍サイクル」は変わりません。
次の章から、実際の冷凍サイクルの機器について詳しく説明していきます。