装置の仕組み | 17

凝縮器

装置の仕組み INDEX

第9章では「蒸発」とは逆の現象である「凝縮」についてお話しました。本章では「凝縮器」の熱の伝わり方や構造について説明していきます。

前章で示したように冷房運転中のエアコンの室内機は蒸発器となります。その時、室外機は下図で示されるように凝縮器になります。

凝縮器では圧縮機から送られた高温高圧の冷媒蒸気が伝熱管内を流れ、室外機のファンにより送られた空気によって冷やされることで冷媒液となります。このように蒸気が液になる現象を凝縮といいます。

では伝熱管内の凝縮としては何が起こっているのでしょうか。この現象についてもう少し詳しく説明します。

熱の移動と伝熱管内の流動様相

熱の移動と伝熱管内の流動様相

伝熱管内では冷媒蒸気が管内を流れ、管外の空気によって伝熱管が冷やされることで管内壁面から凝縮が起こり、冷媒蒸気が徐々に冷媒液へ変化します。管内から管外へと熱が移動するため、蒸気が冷やされ、液体に変化する相変化が起こります。空気は伝熱管外から放出された熱を受け取ることで温風となります。

凝縮器の種類・特徴・使用例

凝縮器にも用途に合わせて様々なものがあります。本項では空冷式・水冷式凝縮器について紹介します。

空冷式凝縮器は伝熱管内に冷媒蒸気を流し、管外面を空気で冷却することで冷媒を凝縮させる熱交換器です。空気側の熱伝達率が冷媒側の熱伝達率に比べて極端に小さいことから、これを補うために伝熱管外側にフィンを取り付けて冷却する空気の接触面積を増やして、熱交換の効率を上げています。また近年では伝熱管をマイクロチャンネル化することで伝熱効率を上げ、熱交換器の小型軽量化・高性能化を図った製品も出てきています。マイクロチャンネルとは、一般に表面張力の影響が顕著となる数ミリ径以下の小さい流路のことです。

空冷式凝縮器

空冷式凝縮器

水冷式凝縮器は冷媒を水により冷却する方式で冷却水が熱を受け取ることを利用して冷媒蒸気を凝縮します。熱交換器はシェルアンドチューブ式やプレート式が使用され、熱伝達率の向上や伝熱面積を増やすために伝熱面に波状の加工や溝加工が施されています。

シェルアンドチューブ式凝縮器は、伝熱管をシェルと呼ばれる胴状の容器に納め、伝熱管内と管外(胴内)において流体間で熱交換が行われます。冷却水により冷媒蒸気が冷やされることで冷媒液になり、管外表面を流下します。

プレート式凝縮器は、波形にプレス加工された長方形の金属製薄板を等間隔に並べられるように配置され、このプレート間の隙間が流路となります。そして冷媒蒸気と冷却水の流路がプレートを隔てて交互に設けられており、プレートの表裏で熱交換が行われ、冷媒蒸気は冷媒液、冷却水は温水に変化します。