装置の仕組み | 14

スクロール圧縮機

装置の仕組み INDEX

クロール圧縮機の特徴について説明します。
スクロール圧縮機は、原動機の回転運動を旋回運動に変換してガスを圧縮する機械です。
スクロール圧縮機の渦巻き部の断面形状を図1に、噛み合い状態を図2に示します。
インボリュート曲線※1などで形成される2個の渦巻き(ラップ)が噛み合い、ガスを圧縮します。
渦巻きの1つは固定され、もう一方の渦巻きは旋回運動をしています。

図1 渦巻き部断面

図1 渦巻き部断面

図2 噛み合い状態

図2 噛み合い状態

旋回運動に伴うガスの圧縮行程を図3-1、3-2に示します。渦巻き外周側の吸入口から吸い込まれたガスが、旋回スクロールの内側外側の内室と外室に分けられた三日月状の圧縮室に閉じ込められます。①~⑫と旋回運動をするに従って連続的に面積(体積)が減少し、圧縮されて中央の吐出口から吐き出されます。

図3-1 ガスの圧縮工程(内室)

図3-1 ガスの圧縮工程(内室)

図3-2 ガスの圧縮工程(外室)

図3-2 ガスの圧縮工程(外室)

スクロール圧縮機 渦巻部の旋回運動

基本的な仕組みは欧州で1800年代後半に特許が出願されていたものの、渦巻き部分には高い加工精度が要求されることから、製品として市場に出始めたのは1980年代になってからのことです。

主にスクロール圧縮機は①トルク変動が小さく低振動、低騒音、②圧縮過程での漏れが少なく高効率、③構成部品が少なく高信頼性かつ軽量、といった優れた特徴があります。身近なところだと、カーエアコンや家庭用ルームエアコンによく用いられており、一般にフロン系冷媒がよく使われています。一方、前川製作所が製造しているスクロール圧縮機(図4)は、大型の産業用の冷凍冷蔵、空調分野で利用されており、地球温暖化およびオゾン層への影響が小さな自然冷媒であるアンモニアを用いています。

図4 スクロール圧縮機の外観

図4 スクロール圧縮機の外観

※1:インボリュート曲線:円に巻き付いた糸をたるまないようにほどいていくときに、その糸の先端が描く軌跡(図5)。

図5 インボリュート曲線概要

図5 インボリュート曲線概要