食品技術

生鮮食料品の鮮度保持

食品技術 INDEX

01概要

青果物には、産地間の端境期や、お盆や年末年始などの時期的な品薄期間があり、また自然環境の影響を受けやすく、豊作や不作により需給バランスが崩れることがあります。
一方流通の広域化により「食の安心安全」に対する消費者の関心が高まり、コールドチェーン化への要望が益々高まっています。
このような社会情勢の中、果樹研究所によって青果物の老化メカニズムの解明が進み、冷温高湿度貯蔵法が開発されたことにより、飛躍的に青果物の貯蔵技術が向上しました。
前川製作所技術研究所では、平成13年度から17年度にかけて、農林水産省所管の「食の安心・安全確保技術の開発」事業に参画し、課題名「最適環境制御技術による流通時における高鮮度保持技術の開発」において、超微細ミストを応用した高鮮度保持技術の開発を行いました。
また、引き続き平成19年度から21年度にかけて、農林水産省の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業委託事業」に参画し、課題名「電磁波殺菌とナノミストを用いた青果物の高鮮度輸送技術の開発」において、超微細ミスト発生装置の高性能化を図りつつ、輸送システムの開発を行っております。

02特徴

果樹研究所により解明された青果物の老化の原理は、収穫後の青果物の細胞の膨圧が、水分の蒸散等により低下すること(水シグナル)により、青果物の特性に応じてクライマテリック型、ノンクライマテリック型、低温障害などの老化現象を引き起こすことです。したがって、収穫後に水分の損失を抑え、細胞の膨圧を維持できれば、老化現象の進行を遅らせることができ、青果物の貯蔵期間を延ばすことが可能になります。冷温高湿度貯蔵法は、この老化の原理を応用したものです。技術研究所では、加湿器に庫内空気循環型の超微細ミスト発生装置を用い、前川の持つ精密な温度制御技術と組み合わせて、青果物の貯蔵に適した低温高湿度環境を実現しました。超微細ミストは粒径が目に見えない1μ以下で濡れ感がなく、庫内空気循環により過飽和になりにくいため、青果物表面や冷蔵庫内を濡らすことが無く、高湿度でありながら微生物が増殖しにくい環境を維持します。
このシステムを用い、青果物の出荷調整を行うことにより、日々変化する需要に対応が可能となり、歩留まりの向上が見込まれ、利益の確保につながります。