装置の仕組み | 13

スクリュー圧縮機

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この章ではスクリュー圧縮機について説明します。
スクリュー圧縮機は、その名が示すようにスクリューロータと呼ばれる螺旋(らせん)形状の部品を回転させガスを圧縮する機械です。スクリュー圧縮機の種類には、単軸型のシングルスクリュー圧縮機、二軸型のツインスクリュー圧縮機、三軸型のトリプルスクリュー圧縮機がありますが、ここでは前川製作所で製造しているツインスクリュー圧縮機について説明します。

レシプロ圧縮機は、モータやエンジンなどの原動機の回転運動を往復運動に変換して圧縮を行っていましたが、スクリュー圧縮機は原動機の回転運動をそのまま利用してガスを圧縮しています。

スクリュー圧縮機 圧縮機構(手前:駆動ロータ 奥:被動ロータ)

前川製作所で製造しているツインスクリューは先ほど説明したようにスクリューロータが二本あり、これらのロータはそれぞれ形状の異なる歯形を持った歯車となっています。また原動機で直接回転させるロータを駆動ロータ、駆動ロータとの歯の噛み合いにより回転させるロータを被動ロータと呼びます。

※歯形がスクリュー圧縮機の特性(性能や振動・騒音等)に大きく影響するため、各社は独自に歯形の研究開発を行っています。

スクリュー圧縮機は、これら一対のスクリューロータのかみ合いとケーシングの組み合わせで閉じられた空間(以下、チャンバー)を形成し、軸の回転に伴い、下図のようにチャンバーが軸方向に移動することで、ガスの吸い込み、圧縮、吐き出しという工程を連続で行います。

①吸入工程

②圧縮工程

③吐出工程

レシプロ圧縮機では吸い込み口と吐き出し口に逆止弁を付け、シリンダ内の圧力に応じて弁が交互に開閉することで吸い込みと吐き出しの機能を果たしていましたが、スクリュー圧縮機に弁は付いておらず、構造的に吸い込み口と吐き出し口は常に開いた状態です。
スクリュー圧縮機のチャンバーが軸方向に移動し、移動の過程で吸い込み口だけに繫がっている時間(吸入工程)、どちらにも繋がっておらずチャンバー容積が減少する時間(圧縮工程)、そして吐き出し口にだけ繋がる時間(吐出工程)があり、どれだけ圧縮した段階で吐き出し口に繋げるかにより、圧縮の度合いを調整しています。
スクリュー圧縮機は、基本的には1対のロータとケーシングがあれば圧縮機構を果たせるという実にシンプルな部品構成であるため、頑丈で壊れにくくメンテナンス期間が長いという特徴を持っています。またその特徴ゆえ高速での運転も可能であるため、吐出ガスの脈動が小さい、圧縮機本体の大きさに対して処理できるガスの量が多いという利点を持ち合わせています。(スクリュー圧縮機 紹介動画はこちら
前川製作所が販売しているスクリュー圧縮機は、スクリューロータの外径が小さいものでは90mmから、大きいものになると400mmまでのラインナップを持っています。またこれらのサイズの異なる機種を一つの機種に組み合わせ二段圧縮することにより高圧縮比に対応した単機二段機もラインアップとして用意しています。(製品のラインアップはこちら

冷凍機としてのスクリュー圧縮機は、レシプロよりも規模が大きい冷蔵、冷凍倉庫やスケートリンクなどに使われており、冷凍以外の分野では、MVR(機械式蒸気再圧縮)、ケミカル市場のガスコンプレッサなどにも採用されています。また弊社以外では、空気圧縮機や自動車用の過給機としてもスクリュー圧縮機が使われています。