熱流体解析技術
船舶上の圧縮機(油面)状態
2019年1月15日
01船舶用ヒートポンプ
ヒートポンプとは、空気や水から熱を取り出し、その熱を給湯などに利用する装置です。
近年船舶に対して給湯用のヒートポンプを搭載する需要が高まっています。
船舶の機械室内の温度は常時約40℃と高温環境です。この空気をヒートポンプの熱源として利用することで、船舶内での高効率な給湯運転が可能となるだけでなく、機械室内の温度を下げることも可能となり、船員の作業環境の改善にもつながる見込みがあります。
02船舶ならではの問題点と流体解析の目的
ところが、陸上には無い船舶ならではの問題点が浮上しました。当然のことながら洋上の船舶は波によって上下左右に揺れます。ヒートポンプで使用される圧縮機では、潤滑用の冷凍機油が機内に吸い込まれる前に、オイルフィルター(図1参照、黄色部分がオイルフィルター)を通さなければなりません。この油面がオイルフィルターよりも下にきてしまうとフィルター内が油で満たされず、結果圧縮機内に吸い込まれる油の量が不足して故障の原因となる場合があります。
そこで弊社では、洋上での船舶の揺れを模擬した複雑な振動・振幅(前後左右の揺れ+上下の揺れ)を圧縮機の解析モデルに与え、その際の油面の挙動を解析して、オイルフィルター部が常に油で満たされるかを検証しました。
図1 圧縮機外観及びオイルフィルター位置
03解析結果
解析結果を動画に示します。
どの方向に圧縮機が傾いても油面が常にオイルフィルターよりも上にあり、船舶が洋上にあっても圧縮機の稼動には問題にならないことがシミュレーション上で確認できました。