冷やす仕組み | 08
冷やす話 蒸発の話(3)
2017年4月20日
前の章で、よく冷やせそうな液体(ブタン)を見つけました。このような、冷やすためのガスや液体のことを「冷媒」と呼びます。これを使って、物を冷やす装置を作ってみましょう。
「冷媒」は、それが入れられた入れ物そのものを冷やします。その冷えた入れ物の表面で周りの空気や水を冷やすことができます。(無害な冷媒であれば直接吹きかけて冷やすこともできます。)効率よく周囲を冷やすために容器の形を変えてみましょう。表面積を増やしています。
写真1 フィンがついた冷媒容器
冷媒容器に入れられたブタンは周囲の水の熱を奪いながら蒸発していきます。熱を奪われた水の温度は20.8℃から2.1℃まで下りました。
さて、入れ物の中の「冷媒」がすべて蒸発してなくなってしまいましたのでこれ以上冷やすことができません。続けて冷やすためには「冷媒」を補充しなければいけませんね。蒸発して減った分だけ補充できるようにしてみました。
写真3 ガスボンベから補充できるようにした
※作業者は十分に安全に配慮し実験を行っておりますので、絶対に真似しないでください。
ここではブタンガスを高圧ボンベから注入することにしました。ボンベ内の高圧液は周囲と同じ温度ですが、出口で液の圧力が急激に下がって一部が蒸発してとても冷えています。これは後の章で説明しますが、「膨張弁」の機能と同じです。
このような、「冷媒」が「蒸発」する入れ物を「蒸発器」といいます。冷房運転中のエアコン室内機は蒸発器です。
冷媒(ここではブタン)を使い捨てにするのはもったいないですね。蒸発したガスが問題になることもあります。
次の章で、蒸発したガスを集めて連続して冷やすための装置を考えてみましょう。