装置の仕組み | 12

レシプロ圧縮機

装置の仕組み INDEX

それでは前章で説明した容積型圧縮機について、それぞれの説明をしていきます。
最初にレシプロ圧縮機について説明します。

レシプロ圧縮機は、前章の自転車タイヤの空気ポンプに代表されるように、ピストンがシリンダの中を往復することでガスを圧縮する機械です。

※レシプロ:往復運動を表すReciprocating(レシプロケーティング)に由来します。

空気ポンプでは、手押しによってガスを圧縮していましたが、レシプロ圧縮機では、ピストン・クランク機構(スライダークランク機構)やスコッチヨーク機構を利用して、モータやエンジンの回転運動を往復運動に変換し、ガスを圧縮しています。

ピストン・クランク機構

スコッチヨーク機構

ガスを圧縮するために、シリンダにつながるガスを吸い込む口と吐き出す口には逆止弁と呼ばれるストッパがついており、ガスが逆流しない構造になっています。
また、シリンダとピストンの組み合わせが一つのいわゆる「単気筒」として使われるだけでなく、複数気筒に増やすことによって簡単に冷媒の流量を増やすことができるという利点もあります。
複数気筒のレシプロ圧縮機には様々なシリンダの配置があり、エンジンのようにシリンダを直列やV型に配置したり、エンジンではあまり馴染みはありませんがW型と呼ばれるようなシリンダの配置構造もあります。

直列2気筒レシプロ圧縮機の往復運動

V型

W型
V型、W型ピストン・クランク機構

前川製作所が販売しているレシプロ圧縮機は、直列2気筒,V型4気筒,W型6気筒,W型8気筒をラインナップとして持っておりますが、W型6気筒を直列につないだ12気筒、さらにはW型8気筒をつないだ16気筒!といった圧縮機もあります。
古典的な構造を持つ機械ではありますが、その部品のシンプルさから比較的コストが安く、かつ、高い圧力までガスを圧縮できるという利点もあり、現在でも冷凍・空調分野に限らず、幅広い分野で利用されています。
特に、ご家庭で使われるような冷蔵庫ではシリンダが一つの「単気筒」型が主流ですし、昨今、環境負荷が小さいことで注目される、CO2冷媒を使った「超臨界サイクル」と呼ばれる高い圧力で駆動する冷凍システムでも、レシプロ圧縮機が数多く利用されています。

現在でも世界中の圧縮機メーカーではこのレシプロ圧縮機の性能や耐久性を向上させるための研究開発が積極的に行われており、日夜、たゆまぬ努力を続けています。

レシプロ圧縮機のラインナップ

レシプロ圧縮機のラインナップ