冷やす仕組み | 06
冷やす話 蒸発の話(1)
物を温めるのは、火であぶったり日光で照らしたりすれば簡単にできますね。すこし温めることから、鉄が真っ赤になって溶けるくらいの高温まで、火、太陽光線をたくさん使えば自由自在です。金属に電気を流せば発熱するので、これを使ってもいいです。ガスコンロ、電熱器などでお湯を鍋で沸かすのは日常的に行っていると思います。
では、逆に冷やすにはどうしたらいいでしょうか?鍋に入ったお湯は放っておけば室温まで自然に冷えますね。冬に屋外に放置しておけば氷になるときもあります。熱が高いところから低いところに伝わり、空気とお湯(水)の温度が同じになろうとするためです。
八百屋で買ってきたぬるいスイカを井戸や川の水に浸けてしばらく置いておけば、水の温度まで冷やすことができます。これも、水の温度とスイカの温度が同じになろうとするためです。まわりの水はぬるいスイカによって温められますが、水がたくさんあれば水の温度はほとんど変わりません。
ちょっと違う話をしましょう。運動して汗をかいたときに風にあたると涼しく感じますね。汗をタオルなどで拭きとっておかないと風邪をひいてしまうくらいに冷えてしまいます。これは、人間がそう感じているだけということではなく、実際に温度が下がっています。簡単に実験できます。2本の温度計を用意して、片方を水で濡らしたガーゼで包んで比べてみましょう。なにもしていない方の温度計は33℃の気温を示していますが、濡らした方はすこし冷えて26℃を示していますね。
「水分が蒸発するときに熱を奪った」ためです。ちなみに、水分の蒸発の程度でガーゼ付き温度計の温度が決まるので、空気がどれくらい湿っているか(乾いているか)を知ることができます。この蒸発によって温度が下がる原理を使えば物を冷やせそうですね。でもすごく冷たいというほどではない?
さて、それでは真夏にスイカをキンキンに冷やすために、次の章で「蒸発」の話をすこし発展させてみましょう。