「エコキュート」でヒートポンプ技術が身近なものになりましたね。ガスや灯油でお湯を沸かすよりもこのヒートポンプのほうがCO2の排出が少ないということで注目されています。この技術を産業向けにもっと活用したいという場合、実はまだまだ超えなければならないハードルがあります。ここでは、+80℃以上の温度帯で使われる高温ヒートポンプの技術に関する疑問にお答えします。
Q1 「エコキュート(ヒートポンプ)」を使えば、工場のボイラーがいらなくなり、CO2などの温暖化ガスを削減できるのではないですか?
A1 「エコキュート」の商品名で知られるいわゆるCO2を用いた給湯専用のヒートポンプは、最高温度が概ね90℃に設定されています。それに対して、工場で使われるボイラーは蒸気を作り、100℃以上の温度で工場内に供給されています。ヒートポンプは空気(または冷却水)から温熱を作り出していますが、100℃を超える温度を作り出すには、冷媒として用いる「ガス」の特性から沢山の制約が出てきます。CO2を用いる場合は、現在は「エコシロッコ」という商品が作り出す120℃の温かい空気というのが最高温度です。
また、ヒートポンプはポンプのようなもので、ポンプの場合は水をくみ上げる高さが高いほど電力を多く消費しますが、ヒートポンプは「熱源となる温度」と「欲しい温度」との差が大きいほど、電力を使います。そうなると、ボイラーで投入されるエネルギーと均衡してしまいますので、条件が揃わないと省エネルギーにならないのです。
現在、ヒートポンプの効率を上げるために様々な研究を行っていますが、工場のボイラーを全てヒートポンプにするには、まだまだ技術革新が必要です。
Q2 工場から出てくる排蒸気を再利用できませんか?
A2 工場から出てくる排蒸気を圧縮して工場内の製造プロセスの加熱に用いるシステムは、ビール工場やアルコール蒸留工場で採用されています。「VRC: 蒸気再圧縮再利用システム」とよびます。蒸気から蒸気を作るというのは、温排水の熱から蒸気を作るよりも圧倒的に効率よく行えますので、大幅な省エネルギーを実現しています。
