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研究開発紹介 Research and Development Introduction

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空気冷媒で-60℃以下を実現する超低温冷凍システム(2)

2.空気冷媒冷凍システムの概要

究極の自然冷媒である「空気」は、通常の冷媒のような潜熱利用ができないため、『パスカルエア』は一般の冷凍システムとは仕組みが全く異なるのが特徴です。実はこの『パスカルエア』の自然冷媒冷凍システムは、冷蔵庫内に冷たい空気を直接冷媒として循環させています。この仕組みを "逆ブレイトンサイクル"(注1)と呼びます。

『パスカルエア』の空気冷媒冷凍システムの概略フローの例(庫内温度-60℃)を図3に示します。『パスカルエア』は一体型圧縮膨張機、一次冷却器、冷熱回収熱交換器の3つの機器から構成されています。そして、図中の(1)から(5)の過程を繰り返す仕組みになっています。

空気冷媒冷凍システムの概略フロー

図3 空気冷媒冷凍システムの概略フロー

【空気冷媒冷凍システムの流れ】:庫内温度-60℃の場合

  • (1)冷蔵庫内から吸引した大気圧・-60℃の空気は冷熱回収熱交換器へ送られ、そこで40℃の空気と熱交換されることで35℃の空気となります。
    (2)35℃の空気は一体型圧縮膨張機の圧縮機側で圧縮・加熱され、90℃の空気となります。
    (3)90℃の空気は、一次冷却器で40℃まで放熱されます。
    (4)40℃の空気は、冷熱回収熱交換器にて庫内から吸引した-60℃の空気と熱交換し、-55℃に冷却されます。
    (5)-55℃の空気は一体型圧縮膨張機の膨張機側で断熱膨張され、-80℃の冷たい空気となって冷蔵庫内へ吹き出されます。
  • 以上が『パスカルエア』の空気冷媒冷凍システムの流れです。このシステムは完全なガスサイクルであり、空気が液化することはありません。




      注1 ブレイトンサイクルについて

      ガスタービンエンジンは航空機や発電機の動力源として広く知られており、圧縮した空気と燃料から発生させた高温・高圧の燃焼ガスの力でタービンを回し、動力(電力)を取り出す機械です。そして、タービンを通過した後の燃焼ガスは、通過前と比較して圧力が低下し、冷たくなって大気中に排気されます。これが“ブレイトンサイクル”です。
      一方、『パスカルエア』の空気冷媒冷凍システムで利用される“逆”ブレイトンサイクルでは、圧縮機に動力(電力)を投入することによってガスタービンエンジンとは反対に、低温・低圧のガスと高温・高圧のガスを作り出しています。『パスカルエア』はこの “逆”ブレイトンサイクルの低温・低圧部分を利用して冷蔵庫内を冷やしています。




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