前川製作所 技術研究所 R&D CENTER

研究開発紹介 Research and Development Introduction

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超電導ケーブルの冷却技術(2)

3. 高性能冷凍機の開発

前ページに記載した実証試験では、超電導ケーブルに適した冷凍容量の冷凍機がなかったため、小容量のスターリング冷凍機を6台使用しています。将来的にはさらに冷凍容量の増大が予想され、超電導ケーブルを実用化するためには大容量の冷凍機を開発する必要がありました。前川製作所では、もともと極低温の冷凍機開発の実績があり、さらに大容量の冷凍機を得意としていたため、将来の必要性を考え、スターリング冷凍機に比べて大容量、高COPのターボブレイトン冷凍機開発に取り組みました。

私たちが開発したターボブレイトン冷凍機は、ターボ型圧縮機・膨張機(図3)を用いてガスを断熱圧縮・膨張させています。この膨張によって発生した冷熱を用いて、循環する液体窒素を冷却します。本冷凍機は、大容量だけでなく、高いCOPも達成しました。また、磁気軸受により、タービンを支持する軸を完全非接触としたため、磨耗がほとんどなく、長期の耐久性にも優れます。

ターボ型圧縮機・膨張機

図3 ターボ型圧縮機・膨張機


冷媒にはネオンガスを用いており、もっとも冷える膨張機出口は50 K程度まで冷却されます。一般的に極低温では真空断熱が用いられますが、冷凍機の中で極低温になる部分はコールドボックスと呼ばれる容器に入れ、真空断熱を行っています。

開発したターボブレイトン冷凍機の写真を図4に示します。性能測定の結果、この冷凍機は冷凍能力5 kW (冷却温度69 K)で設計通りであることが分かりました。これは、実証試験で用いたスターリング冷凍機6台分の冷凍能力になります。さらに、COPも優れていることを確認しました。 前川製作所では、ターボブレイトン冷凍機の長時間の信頼性と、さらなる大容量・高効率化を目指して、現在も開発を進めています。

ターボブレイトン冷凍機

図4 ターボブレイトン冷凍機


4. おわりに

超電導ケーブルは次世代の高効率送電技術として今後、世界中で普及する可能性があり、より実用的なシステム開発が必要とされています。例えば、実用化の際には、ケーブル長さは数km~数千kmにおよぶことが想定され、上記の冷却システムを所定間隔で複数設置する必要があります。この様な長距離送電に向けた超電導ケーブルシステムの開発は今まさに始まろうとしています。
さらに、現在は、一本の超電導ケーブルを一基の冷却システムで運用していますが、一般的な電力送電は、複数のケーブルにより行われているため、実際の送電ケーブルの構成や運用条件に合わせた冷却システムを考える必要もあります。冷凍機や冷却システム単体での開発は現在も進んでいますが、実用化に向けて電力系統の中でどのように超電導ケーブルや冷却システムを構成するか、早急な検討が必要です。
超電導ケーブルを実導入するためには、冷却システムの開発がキーとなるため、前川製作所に課せられた役割は重要で、未来のより良い社会の実現に向けて頑張りたいと思います。


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