前川製作所 技術研究所 R&D CENTER

研究開発紹介 Research and Development Introduction

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エンドファイトの多収栽培技術への応用(3)

7. 環境調和型農業に向けた実用化技術の開発

前川製作所では植物共生細菌の製剤化技術、効果の安定化技術等の開発を実施し、イネ用の植物共生細菌資材「イネファイター」を開発し、2011年から北海道において販売を開始し、2012年より全国販売を開始しました。「イネファイター」は農薬ではなく、イネを健全に生育させることにより生長促進と収量増加をねらう微生物資材です。またさらに2010年、2011年に経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業において、「イネファイター」よりさらに高性能な植物共生細菌を使用して安定的にイネの免疫を活性化する資材の実用化、および北海道からの事業化を目指した研究開発を実施しています。
既存の化学合成農薬である誘導抵抗剤は植物に薬害を発生させるため、薬害の発生しない濃度で使用されています。また、環境ストレス存在下では病害抵抗性が発揮されない問題点があります。マエカワの植物共生細菌資材は、植物に薬害を発生させることは無く、免疫活性化も既存の誘導抵抗剤とは異なるメカニズムであることから、環境ストレス下においても有効に活用できる可能性があります。
植物共生細菌は自然界のほとんどすべての植物に存在しており、その中の一部は植物の免疫を活性化し、植物の健全な成育に貢献していると考えられています。本技術はこのような自然界の微生物と植物が本来持つ機能を農業に利用する画期的な技術です。免疫を活用することにより農薬使用量を削減できる可能性もあり、収穫物の品質や収量を低下させずに減農薬栽培を可能とする環境調和型技術です。しかし十分な効果が速やかに認められる農薬とは根本的に異なり、普及には農業生産者の正しい理解も必要になると考えています。

*「イネファイター」は㈱前川製作所の登録商標です。


7.おわりに

近年農薬のドリフト問題や安全・安心な農産物生産への関心から、農業生産者は収量や品質が低下しなければ減農薬栽培を行いたいと考えています。また有機栽培においては耕種的防除以外の病虫害低減技術は少なく、このような免疫活性化微生物が期待されています。本技術は、病虫害の発生等により労働時間の増加や品質、収量が減少する傾向にある減農薬栽培、有機栽培においても、慣行栽培と同等の労力または省労力で栽培が可能となり、また品質や収量を減少させる事がなく、増収となる可能性もある栽培技術として実用化させたいと考えています。低エネルギーで製造可能な植物共生細菌が実用化され、結果として減農薬栽培が可能となった際には、栽培される作物のブランド化、化学合成農薬使用量削減による環境保全、二酸化炭素排出量削減に貢献でき、農業現場の活性化にも貢献できる技術になりうると考えています。

植物共生細菌資材が実現する農業

引用文献

(1)
岩本豊, 相野公孝, 前川和正, 真山滋志(2000) 日植病報 66: 177.
(2)
相野公孝, 前川和正, 岩本豊, 神頭武嗣(2002) 日植病報 68: 240.
(3)
仲下英雄, 安田美智子, 伊沢剛, 粟崎弘利, 篠崎聰(2008) ブレインテクノニュース 126: 6-9.


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