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研究開発紹介 Research and Development Introduction

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エンドファイトの多収栽培技術への応用(1)

1. はじめに

近年地球温暖化や干ばつ、豪雨等、地球規模の環境問題により栽培地は減少し、また世界人口は増加傾向にあることから将来の食料需給の不安定化が懸念されています。また農家数の減少やTPP参加による貿易の自由化への対応策として、国産農産物の付加価値向上や農業の活性化が求められています。

化学合成農薬は病害虫防除効果が高く安全性も確認されていて、農産物の安定的生産に大きく貢献しています。しかし製造時に主に化石燃料から得られる多大なエネルギーを使用しており、また圃場の有益な生物まで殺してしまうという問題点があります。安心・安全なイメージを持つ減農薬栽培、有機栽培は、環境負荷が小さく天敵を有効利用できますが、慣行栽培に比較すると農産物の品質は低下し収量は減少してしまいます。以上から農産現場において、生産を収量や品質を落とすことなく安全・安心な作物の可能とする環境負荷が低い農産物栽培技術が望まれています。

自然界に存在するほとんど全ての植物内部には糸状菌 (カビ)、細菌 (バクテリア) といった微生物が存在しており、このような植物内生微生物のうち病原菌でないものを総称してエンドファイト (endophyte) と呼んでいます。このような微生物は普段私たちが口にしている野菜を含め存在しており、様々な機能を植物に付与することが明らかになってきています。自然界の植物は小動物、虫、他の植物、微生物など生態系内の様々な生物との関わりによって健全な植物体を維持しており、エンドファイトもその一部として機能していると考えられています。

農産地域において


2. 有用細菌エンドファイトの探索

マエカワでは有用な植物共生細菌の機能を農業に活用することを目的に、2003年より農林水産省の補助を受け野生イネ科、マメ科、アブラナ科植物、また様々な作物から有用植物共生細菌の探索と実用化研究を実施してきました。その結果、イネに処理した際にいもち病、コブノメイガ、ウンカ類等に対する被害を抑制する植物共生細菌、ダイズに処理した際にハスモンヨトウに対する葉の摂食を抑制する植物共生細菌が複数選抜されました。病虫害抑制の防除価は40~60程度であり、虫害抑制は殺虫ではなく忌避によるものでした。その中から効果、安全性・環境影響評価、接種菌の種子移行性を確認し、実用性が高いと考えられる植物共生細菌がイネ由来ではAzospirillum 属等の3菌株、ダイズ由来ではVariovorax 属等の2菌株が選抜されました。

有用細菌エンドファイトの探索


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