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15.ターボ圧縮機

これまで冷凍サイクルを構成する要素である様々な圧縮機を紹介してきました。圧縮機の最後の章としてターボ圧縮機について説明します。
ターボ圧縮機は遠心式と軸流式に分類されますが、前川製作所では遠心式を採用していますので遠心式として解説します。

ターボ圧縮機は、これまでのレシプロ圧縮機、スクリュー圧縮機、スクロール圧縮機などに代表される容積型圧縮機とは圧縮する方法が異なります。容積型圧縮機は、形成される空間内にあるガスをピストンなどで押すことにより、その容積を縮めて昇圧・昇温します。

一方でターボ圧縮機は、まず羽根車の軸方向からガスを吸い込み、回転する羽根車によって羽根間のガスを連続的に出口へ押し出すことで速度を高めます。次に羽根車下流の流路で効率的に減速することで、速度を圧力に変換してガスを昇圧・昇温します。
このことから、ターボ圧縮機は速度型圧縮機と呼ばれています。

特徴は容積型圧縮機よりも大容量向きですが、羽根車1つで大きな圧縮比を生み出すのは不得意です。
前川製作所の圧縮機における容量と圧縮比の大まかな関係は、技術研究所ホームページ:圧縮機・回転機「容量と圧縮比の指標」で紹介しています。


羽根車部の圧縮のイメージ

前川製作所が製造しているターボ圧縮機は膨張機一体型の圧縮機ですので、ターボ膨張機についても説明します。

ターボ膨張機では、上述しましたターボ圧縮機と正反対の作用が行われます。膨張機に入る前のある圧力・温度のガスを、羽根車の入口付近までに効率よく速度に変換して羽根間に流すとガスが羽根部を連続的に押すことによって羽根車に回転力が生じ、羽根車は高速で回転します。羽根車を通過する際にガスは膨張して、この膨張エネルギーが羽根車の回転エネルギーに使われるため、最初の状態から減圧・減温します。

このようにターボ膨張機は、ガスにエネルギーを与えるターボ圧縮機と異なり、ガスからエネルギーを受け取る正反対の作用があることが分かります。

圧力が速度に変換される身近な例として、水道ホースの口を絞ると水の勢いが強くなりますよね。これは水の圧力の一部が速度に変換されて速度が増しているのです。
この圧力が速度に変換される、またはその逆の速度が圧力に変換される作用についてベルヌーイの定理がよく知られています。ベルヌーイの定理については、様々な別サイトで紹介されているので検索してみてください。

羽根車部の膨張のイメージ


この2つの圧縮・膨張の作用を一体化した回転機械が膨張機一体型圧縮機です。
これらを組み合わせて更にモータと一体型とすることで膨張機に生じる膨張エネルギーを動力として回収し、モータの補助動力として有効利用することが可能となります。

膨張機一体型圧縮機の構成

膨張機一体型圧縮機の構成

このターボ圧縮機を使った空気冷凍システムを前川製作所ではパスカルエアと呼んでいます。こちらのシステムについては技術研究所ホームページの研究開発紹介「空気冷媒で-60℃以下を実現する超低温冷凍システム」で詳しく紹介しています。また、このパスカルエアは(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業」及び「エネルギー使用合理化事業者支援事業」の一環として実施され実用化に至りました。開発背景などについてはNEDOホームページのNEDO実用化ドキュメント:「空気冷媒でマイナス60℃を実現する超低温冷凍システム」をご覧下さい。



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