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[2011/09/30] カテゴリ:植物共生細菌(エンドファイト)
前川製作所の植物工学研究所(静岡/富士宮市)では、イネの減農薬栽培向けへの利用が期待される「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いた施用実証を平成17年から実施して参りました。平成23年度はこれまでの「実証試験」から北海道/美唄・上川地区を中心とした限定販売に切り替え、多数の農家さんのご協力のもとエンドファイトを使ったイネ栽培に挑戦して頂きました。収穫の時期を迎え、速報値では多くの圃場で「収量の増加傾向」と「いもち病などの減少」が確認されて参りましたので概要を報告します。
●エンドファイト施用実証概要: 平成23年度は北海道を中心とした19都道府県の農業団体・個人農家でエンドファイトの施用実証を実施した。圃場面積は全体で500ヘクタール。
本年は、札幌市の北東に位置する美唄市/美唄ハイテクセンターに植物工学研究所の分室を設置し、5月より研究員が常駐しイネの生育状況の調査を行った。道外地域へは、研究員が随時、観察にいく形態で実施。以下、JAびばい殿と共同で調査を実施した経過を中心に報告する。
●作付スケジュール: ※ JAびばい地区での平均的なスケジュール
5月中旬 田起し作業開始
5月中旬から下旬 苗床へのエンドファイト液処理(イネ苗へエンドファイト500倍希釈液を散布)。
JAびばいにおける作付品種は、おぼろづき、きらら、ななつぼし、ゆめぴりか等。
5月下旬 田植え
7月下旬から8月上旬 出穂
8月上旬 開花
9月中旬から下旬 稲刈り
●生育状況結果(速報): 9月末の時点でほぼ全ての圃場において収穫を終えた。エンドファイトの施用により分けつと穂数が増加傾向にある。収穫量や収穫物の品質については評価中である。
北海道外での経過に関して: 青森、秋田、新潟、千葉、岐阜、滋賀、三重、大分、熊本などでは、「試験栽培」の位置づけでJAや農事法人の方に栽培実証を実施していただいており、現在、結果のとりまとめを実施中。
前川製作所では、エイドファイトを用いた植物プロバイオティクスの技術で日本の主食である米の減農薬栽培化・食の安全性の向上に寄与していくよう今後とも研究を続けて参ります。
【今後の予定】
平成23年10月14日(金) エンドファイトフェスティバルにて講演、千葉県山武市にて 講演タイトル: エンドファイトの実用化技術の開発と今後の展開
【エンドファイトとは】
植物組織内に内生している生物の総称。エンドファイトを施用することにより植物の免疫を活性化する。
人間に例えると、"乳酸菌などによる免疫力の増加"に似ているので、エンドファイトに施用による免疫力増加の効果を"植物プロバイオティクス"と呼んでいる。
[2010/12/20] カテゴリ:植物共生細菌(エンドファイト)
前川製作所の農業分野に関する研究成果を、「IT農業プロジェクト」の研究会にて報告させていただきましたので、以下に報告します。
日時・開催場所: 2010年12月17日(金) 東京大学本郷キャンパス
講演テーマ・発表者: 「植物共生細菌(エンドファイト)の環境保全的多収栽培技術への応用」
株式会社前川製作所 植物工学研究所 野田宗弘
講演概要: エンドファイトを用いて植物の免疫力を増強するという新しい技術で、「イネの収量増加」を図る。2006年より北海道の美唄市を中心に実用化試験を継続しており、2010年の収穫時期を終え、これまでの成果を報告する。エンドファイト無施用区と比べると、分げつ数・出穂数がともに増加し、収量では7から10%の増加が見られた。
研究会概要: 「IT農業プロジェクト」は、食・農の分野における新事業の創出、環境保全型農業の実現、食の安心・安全に関する情報提供などを目指して、ITを活用した新しい農業システムの研究開発を行うことを目的としている。当社を含め、20者を越える大学や民間企業な地方自治体の自主運営の勉強会であり、リーダーは東京大学・大学院工学系研究科・機械工学専攻 山田一郎教授が努める。
参加メンバー(大学・企業)による研究成果報告を年間6回ほど開催している。
エンドファイトによるイネの栽培技術は、2010年11月上旬にテレビ番組で紹介されたことから、広く稲作農家の方から注目を頂いており、一ヶ月半を経過してのこのIT農業プロジェクトの研究会でも活発な質問が寄せられました。
前川製作所では、2010年度より国内各地でエンドファイトの実証試験をスタートしており、今後の成果が期待されます。

写真 生育調査の様子(北海道美唄市にて)
[2010/09/30] カテゴリ:植物共生細菌(エンドファイト)
前川製作所の植物工学研究所では、本年も植物の免疫活性化により減農薬栽培への利用が期待される「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いたイネの試験栽培を北海道を中心に実施して参りました。9月中旬に主要な試験地である北海道美唄市においてイネの収穫を終え、これより、玄米収量・品質等の評価を行い、植物共生細菌施用の総合評価を行います。
今年度の北海道南空知の気象は、春先は低温、6月以降は登熟まで高温で推移し、7月下旬の出穂期以降は日照も平年の6割程度しかないという、イネにはあまり良くない条件でした。栽培後期の高温により土壌中の有機物の分解が促進され、有機物由来の窒素を吸収してイネが病気に弱くなり、場所によっては「穂いもち」が発生しました。茎数も平年と比べると少なめとなっています。このような中、イネプロバイオティクス資材「イネファイター」を施用した区は未施用の区と比較して穂数が6%から9%増加していました。また、いもち病は約40%減少していました。その他の籾数、精玄米の収量、千粒重、登熟歩合、蛋白含量などの項目については10月下旬に評価結果が出される見込み。
前川製作所ではこのような微生物の力を用いて植物本来の抵抗力を導き出す「植物プロバイオティクス」を開発することにより、環境調和型農業、安全・安心な農作物の安定供給、さらに農作物の高付加価値化などへ貢献していくことを目指しています。

[2010/08/31] カテゴリ:植物共生細菌(エンドファイト)
前川製作所の植物工学研究所(静岡県富士宮市)では北海道のJAびばいと共同で2005年より「農業用微生物資材」の実証研究を進めている。これは、「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いてイネやダイズなどの植物の免疫力を高め、病気や虫に対する抵抗力を高めるもの。専門的に説明すると大変難しいが、人間に例えると乳酸菌飲料やヨーグルトなどを食べて免疫力を高めることに似ている。
このほど農林水産省の「新農業展開プロジェクト」シンポジウムが美唄市で開催されることとなり、その中で美唄における実証研究および理化学研究所との共同研究の成果ご紹介させていただき、シンポジウム終了後には植物共生細菌を施用したイネやダイズを実際に見ていただくために圃場見学会を開催したのでご報告する。
日時・開催場所: 2010年8月6日 北海道美唄市
イベント名: 「北海道のお米を知ろう!
新農業展開ゲノムプロジェクト・美唄シンポジウム2010」
概 要: 口頭発表「植物共生菌を利用した植物プロバイオティクスの開発」
独立行政法人理化学研究所 仲下英雄氏
圃場見学会: 植物共生細菌処理イネ圃場2箇所、植物共生細菌処理ダイズ圃場1箇所
開催報告: シンポジウムにおいては農業従事者にとってやや難しい内容もあったが、それを理解しようと熱心に話しを聞く姿が、また圃場見学会においては実際に植物を手に取り植物共生細菌の実際の効果を比較する姿が見られた。特に農業従事者の方々からはこのような植物共生細菌の早期実用化への期待、またさらなる高性能化への期待など、多くの意見が寄せられた。
前川製作所では、20年ほど前から農産物の安心・安全を目指してこのような農業用生物資材の開発に取組んでいます。今回のシンポジウムを機に、低農薬を実現する「植物共生細菌(エンドファイト)」への関心が高まることを期待しています。


[2010/07/30] カテゴリ:植物共生細菌(エンドファイト)
「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いたイネの試験栽培圃場(北海道)で7月後半からイネの花が咲きはじめました。前川製作所の植物工学研究所は植物共生細菌の農業利用を目的に2005年度から北海道の複数の農業協同組合と連携してイネ、その他作物の栽培試験を行ってきました。2008年より北海道のJAびばい、JAいわみざわ、JAふらの等と、また組合員と協同でイネ・ダイズ等環境負荷軽減技術研究推進協議会を組織し植物共生細菌資材「イネファイター」の実証試験を進めてきており、この試験は今年で3年目を迎えます。
5月中旬から下旬に田植えをする北海道においてイネの花は7月下旬から8月初旬に開花しますが、その花が一般の人の目に触れることはあまりありません。開花の期間は僅か数時間だけだからです。今年の北海道南空知では低温により田植期が平年より3日程遅れました。田植え後も2週間程度は低温であったため生育が遅れていましたが、6月以降の高温により生育が急速に進み、幼穂形成期までの分げつ期間が短くなってしまったことから茎数は少なめとなりました。そんな中「イネファイター」を処理したイネは、処理していないイネに比べ茎数が増加しており穂数の増加による収量増加が期待されます。「イネファイター」はイネの内部に定着し植物の免疫を活性化する働きがあり、この作用はヨーグルトなどで知られる動物の乳酸菌プロバイオティクスに似ていることから、イネプロバイオティクスと呼んでいます。
前川製作所では、このような天然の微生物の力で作物自身が持つ免疫を活性化するイネプロバイオティクス、植物プロバイオティクスを、減農薬栽培を可能とする環境調和型農業の新技術として実用化することを目指しています。
【用語解説】 植物共生細菌またはエンドファイト(植物内生微生物のうち病原菌でないものの総称)、圃場(田畑のこと)、分げつ(イネ科作物の根に近い茎の関節から側枝が発生すること)