2010年07月10日
スラッシュ窒素の高温超電導への応用/ポーランドの国際学会にて発表(報告)
7月19日-23日、ポーランドのヴロツワフで開催された第23回国際低温工学会議にて、前川製作所よりスラッシュ窒素の高温超電導への応用に関する発表を行った。この国際会議は、世界中の極低温・超電導に携わる研究者が集まり、2年に一度開催されている。
超電導(超伝導)とは、金属を極低温に冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象で、その応用として超電導送電ケーブル、超電導電磁石、超電導モータなどが次世代の省エネルギーに寄与する技術として世界中で開発が進行している。
前川製作所では現在、NEDOの研究開発「イットリウム系超電導電力機器技術開発」において、スラッシュ窒素冷媒を用いた超電導送電ケーブルの冷却システムの開発を行っており、国際会議では、スラッシュ窒素の特性の紹介、冷却試験結果などの最新の話題を提供した。
また、本国際会議では、スラッシュ窒素の流動特性の数値解析において前川製作所と交流のあった東北大学流体科学研究所の石本淳准教授が、スラッシュ窒素に 関する論文でCryogenics Best Paper Award 2009を受賞され、「スラッシュ窒素」の技術の実用化に向けた研究開発を幅広く周知する機会となった。
【学会発表概要】
学会名:ICEC23-ICMC2010
International Cryogenic Engineering Conference23(国際低温工学会議)
International Cryogenic Materials Conference2010(国際低温材料会議)
開催期間: 2010年7月19日-7月23日
会場: WROCLAW UNIVERSITY OF TECHNOLOGY IN PORLAND (ヴロツワフ市、ポーランド)
発表: Refrigeration Characteristics of Slush Nitrogen for High Temperature Superconducting Cables (和文タイトル/高温超電導ケーブル用スラッシュ窒素の冷却特性)
発表者: 株式会社前川製作所 技術研究所 仲村直子
要旨:高温超電導ケーブルの冷媒にスラッシュ窒素を用いると、ケーブル冷却温度の低下により、超電導特性の向上、冷却ステーション間隔の拡大などのメリットがあ る。本開発は、NEDOによる研究開発「イットリウム系超電導電力機器技術開発」の協力を得て実施しており、超電導ケーブル冷却システムの開発を通じて、 スラッシュ窒素の冷却特性の評価を行っている。本国際会議では、スラッシュ窒素の連続生成装置の開発、冷却特性評価試験結果を報告した。
【用語解説】
スラッシュ窒素: 液体窒素中に固体窒素の粒子を混合させた二相流体。
高温超電導: 超電導転移が液体窒素温度-196℃以上で作用する超電導現象。
イットリウム系: イットリウムを含む第二世代の高温超伝導材料。
category : 講演・見学会など