2017年07月6日
凍結食品の非破壊温度計測技術 日本食品工学会 第17回年次大会インダストリアルプラザ優秀賞 受賞
2016年8月、東京海洋大学品川キャンパスにて日本食品工学会第17回年次大会が行われました。
前川製作所では、マイクロ波を用いて冷凍食品の内部温度を非破壊かつ迅速に計測する技術の開発を進めて参りました。その研究成果が、本大会にて「インダストリアルプラザ優秀賞」を受賞しましたのでご報告します。
受賞テーマ:マイクロ波共振器を利用した凍結食品の非破壊温度計測
受 賞 者:河野晋治・今村光・服部一裕
従来技術の課題: 食品凍結プロセスにおいて、適切な温度管理を行なうことは食品の品質を保つうえで非常に重要な操作である。通常、冷凍食品は中心温度で管理され、-18℃以下まで冷却することが推奨される。しかしながら、既存の温度計測器では食品にダメージを与えることなく迅速に食品の内部温度を計測することが困難であるため、抜き取り検査や表面温度のみの計測など簡易的な手法で評価されているのが現状である。
本技術の特徴: 本技術は、微弱なマイクロ波を凍結過程の食品に照射することで得られる共振スペクトルから食品の中心温度を推定するものである。マイクロ波は氷を透過し水には非常によく吸収される性質を有する。この性質を利用し、今回開発した装置では凍結食品の内部に残存する微量な未凍結水分の含有比率から食品の中心温度を推定する。
本装置の使用に特殊な知識や技術は必要とせず、共振器と呼ばれるセンサ部に冷凍食品を接触させるだけで迅速に中心温度が計測できる。非破壊計測が可能であるため、全数検査にも応用できる。
表彰制度概要: 本表彰は日本食品工学会のインダストリアルプラザにて発表された研究成果のうち、大会参加者による投票と優秀発表選考委員会による厳正な審査のもと、最も優秀な発表に対して授与される。
本研究では食品の凍結プロセスに着目し、非破壊かつ迅速に食品の内部温度を計測する技術を開発しました。今後も前川製作所では、食品加工プロセスをセンシングするための技術・装置の研究を行い、生産システムの効率化や付加価値の高い加工食品の生産に貢献すべく努めて参ります。
category : 受賞歴など