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2011年05月17日

魚肉凍結に関する研究成果、平成22年度日本冷凍空調学会「優秀講演賞」受賞

前川製作所では凍結処理が畜肉・魚肉・生鮮野菜に及ぼす影響の研究を長年に渡って行って参りました。その成果をまとめた研究論文・発表が、日本冷凍 空調学会の「平成22年度 優秀講演賞」を受賞し、2011年5月16日の日本冷凍空調学会総会において表彰されましたので、ここに紹介します。

 

論文タイトル: 凍結処理が魚肉筋肉内結合組織へ及ぼす影響

著者: 河野晋治(前川製作所 基盤技術開発グループ 食品バイオ技術開発チーム)

 

論文概要: 一般に魚肉を凍結する際に、急速凍結のほうが緩慢凍結に比べ解凍後のドリップ(浸出液)が少ないなど、解凍後の品質が優れているとされ ているが、解凍後の組織観察において、細胞の復元状態にほとんど差異がみられない。そこで、凍結処理が魚肉組織に対してどのような影響を与えているかにつ いて種々の手法を用い調査した結果、特に緩慢凍結処理において、細胞と細胞を繋いでいる結合組織が激しく損傷していることが判明した。また、結合組織の立 体構造を観察した結果においても、緩慢凍結処理を行なった区分では結合組織構造が破壊されていることが明らかとなった。
本研究の結果より、凍結処理による魚肉品質劣化の物理的要因が、従来から言われている氷結晶による細胞の圧迫だけでなく、結合組織の損傷も大きく関与していることが明らかとなった。

 

表彰制度概要: 日本冷凍空調学会「平成22年度 優秀講演賞」は、2010年9月14日から18日に金沢大学で開催された年次大会で発表された講演論文182件のうち年齢35歳未満の90名の論文が審査対象で、最終的に11件が受賞したもの

 

本研究は、水産物をはじめとする生鮮凍結食品の重要な品質である食感に大きく関与する結合組織に着目し、急速凍結の新たな優位性の一面を明らかにした。この成果をもとに、生鮮食品のさらなる高品質保持を可能とする凍結方法の開発へと展開を行っていく。

2010年12月20日

エンドファイトによる多収栽培技術、IT農業研究会にて講演

前川製作所の農業分野に関する研究成果を、「IT農業プロジェクト」の研究会にて報告させていただきましたので、以下に報告します。

 

日時・開催場所: 2010年12月17日(金) 東京大学本郷キャンパス

講演テーマ・発表者: 「植物共生細菌(エンドファイト)の環境保全的多収栽培技術への応用」

株式会社前川製作所 植物工学研究所 野田宗弘

 

講演概要: エンドファイトを用いて植物の免疫力を増強するという新しい技術で、「イネの収量増加」を図る。2006年より北海道の美唄市を中心に 実用化試験を継続しており、2010年の収穫時期を終え、これまでの成果を報告する。エンドファイト無施用区と比べると、分げつ数・出穂数がともに増加 し、収量では7から10%の増加が見られた。

 

研究会概要: 「IT農業プロジェクト」は、食・農の分野における新事業の創出、環境保全型農業の実現、食の安心・安全に関する情報提供などを目指 して、ITを活用した新しい農業システムの研究開発を行うことを目的としている。当社を含め、20者を越える大学や民間企業な地方自治体の自主運営の勉強 会であり、リーダーは東京大学・大学院工学系研究科・機械工学専攻 山田一郎教授が努める。
参加メンバー(大学・企業)による研究成果報告を年間6回ほど開催している。
エンドファイトによるイネの栽培技術は、2010年11月上旬にテレビ番組で紹介されたことから、広く稲作農家の方から注目を頂いており、一ヶ月半を経過してのこのIT農業プロジェクトの研究会でも活発な質問が寄せられました。

前川製作所では、2010年度より国内各地でエンドファイトの実証試験をスタートしており、今後の成果が期待されます。

 

稲刈り前計測シーン-野田
写真:生育調査の様子(北海道美唄市にて)

 

2010年09月30日

稲刈り終了! 植物共生細菌施用効果検証はじまる–玄米収量及び品質向上に期待

前川製作所の植物工学研究所では、本年も植物の免疫活性化により減農薬栽培への利用が期待される「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いたイネの 試験栽培を北海道を中心に実施して参りました。9月中旬に主要な試験地である北海道美唄市においてイネの収穫を終え、これより、玄米収量・品質等の評価を 行い、植物共生細菌施用の総合評価を行います。

今年度の北海道南空知の気象は、春先は低温、6月以降は登熟まで高温で推移し、7月下旬の出穂期以降は日照も平年の6割程度しかないという、イネ にはあまり良くない条件でした。栽培後期の高温により土壌中の有機物の分解が促進され、有機物由来の窒素を吸収してイネが病気に弱くなり、場所によっては 「穂いもち」が発生しました。茎数も平年と比べると少なめとなっています。このような中、イネプロバイオティクス資材「イネファイター」を施用した区は未 施用の区と比較して穂数が6%から9%増加していました。また、いもち病は約40%減少していました。その他の籾数、精玄米の収量、千粒重、登熟歩合、蛋 白含量などの項目については10月下旬に評価結果が出される見込み。

前川製作所ではこのような微生物の力を用いて植物本来の抵抗力を導き出す「植物プロバイオティクス」を開発することにより、環境調和型農業、安全・安心な農作物の安定供給、さらに農作物の高付加価値化などへ貢献していくことを目指しています。

 

DSCN0515-玲コンバイン

2010年08月31日

北海道のお米を知ろう!/美唄シンポジウム2010(報告)

前川製作所の植物工学研究所(静岡県富士宮市)では北海道のJAびばいと共同で2005年より「農業用微生物資材」の実証研究を進めている。これ は、「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いてイネやダイズなどの植物の免疫力を高め、病気や虫に対する抵抗力を高めるもの。専門的に説明すると大変難 しいが、人間に例えると乳酸菌飲料やヨーグルトなどを食べて免疫力を高めることに似ている。
このほど農林水産省の「新農業展開プロジェクト」シ ンポジウムが美唄市で開催されることとなり、その中で美唄における実証研究および理化学研究所との共同研究の成果ご紹介させていただき、シンポジウム終了 後には植物共生細菌を施用したイネやダイズを実際に見ていただくために圃場見学会を開催したのでご報告する。

 

日時・開催場所: 2010年8月6日 北海道美唄市
イベント名: 「北海道のお米を知ろう!新農業展開ゲノムプロジェクト・美唄シンポジウム2010」
概 要 :口頭発表「植物共生菌を利用した植物プロバイオティクスの開発」

 

独立行政法人理化学研究所 仲下英雄氏
圃場見学会:植物共生細菌処理イネ圃場2箇所、植物共生細菌処理ダイズ圃場1箇所
開催報告:シンポジウムにおいては農業従事者にとってやや難しい内容もあったが、それを理解しようと熱心に話しを聞く姿が、また圃場見学会においては実 際に植物を手に取り植物共生細菌の実際の効果を比較する姿が見られた。特に農業従事者の方々からはこのような植物共生細菌の早期実用化への期待、またさら なる高性能化への期待など、多くの意見が寄せられた。
前川製作所では、20年ほど前から農産物の安心・安全を目指してこのような農業用生物資材の開発に取組んでいます。今回のシンポジウムを機に、低農薬を実現する「植物共生細菌(エンドファイト)」への関心が高まることを期待しています。

 

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2010年07月30日

「稲の花」が咲きました! 植物共生細菌を使った試験栽培圃場にて

「植物共生細菌(エンドファイト)」を用いたイネの試験栽培圃場(北海道)で7月後半からイネの花が咲きはじめました。前川製作所の植物工学研究所 は植物共生細菌の農業利用を目的に2005年度から北海道の複数の農業協同組合と連携してイネ、その他作物の栽培試験を行ってきました。2008年より北 海道のJAびばい、JAいわみざわ、JAふらの等と、また組合員と協同でイネ・ダイズ等環境負荷軽減技術研究推進協議会を組織し植物共生細菌資材「イネ ファイター」の実証試験を進めてきており、この試験は今年で3年目を迎えます。

 

5月中旬から下旬に田植えをする北海道においてイネの花は7月下旬から8月初旬に開花しますが、その花が一般の人の目に触れることはあま りありません。開花の期間は僅か数時間だけだからです。今年の北海道南空知では低温により田植期が平年より3日程遅れました。田植え後も2週間程度は低温 であったため生育が遅れていましたが、6月以降の高温により生育が急速に進み、幼穂形成期までの分げつ期間が短くなってしまったことから茎数は少なめとな りました。そんな中「イネファイター」を処理したイネは、処理していないイネに比べ茎数が増加しており穂数の増加による収量増加が期待されます。「イネファイター」はイネの内部に定着し植物の免疫を活性化する働きがあり、この作用はヨーグルトなどで知られる動物の乳酸菌プロバイオティクスに似ていることから、イネプロバイオティクスと呼んでいます。

 

前川製作所では、このような天然の微生物の力で作物自身が持つ免疫を活性化するイネプロバイオティクス、植物プロバイオティクスを、減農薬栽培を可能とする環境調和型農業の新技術として実用化することを目指しています。

 

【用語解説】 植物共生細菌またはエンドファイト(植物内生微生物のうち病原菌でないものの総称)、圃場(田畑のこと)、分げつ(イネ科作物の根に近い茎の関節から側枝が発生すること)

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